2008年10月21日火曜日

鈴鹿中学校・高等学校人権 教育推進計画

鈴鹿中学校・高等学校人権教育推進センター

1 基本方針

①目指す学校像
  • 本学園の建学の精神である「誠実にして信頼される人に」という人づくりにあります。この精神に基づき、すべての生徒が、世の中の担い手として確かな「生きる力」を身につけ、あわせて「一人ひとりを大切にする」という豊かな人権感覚を養い、真に誠実で信頼される社会人に巣立っていくことを目指しています。

②学校努力目標
  • 授業規律を確立するとともに、進級と進路の保障ができる基礎基本を重視し、生徒の側に立って、教職員全員で、「わかる授業・楽しい授業」を目指した授業改善、工夫をし、生徒の学習意欲の向上を図ります。
  • 基本的な生活習慣を確立させ、集団として目的に向かって規律ある行動ができる生徒の育成を目指します。
  • 他人の心の痛みがわかり、いじめや差別を許さない仲間づくりを目指します。人権教育をさらに充実し、生徒・教職員の人権意識を一層向上させる取り組みを進めていきます。
  • 進路指導の原点は、生徒の自分探しから始まります。学習指導や生徒指導、特別教育活動などを通して、生徒にライフプランを確立させ、その目標に向けて、学習に励み努力する生徒の育成を目指します。生徒の進路保障の充実が最大の目標です。
  • 部活動、学校行事、HRを通じて、充実した学校生活を送るための場づくりを進めていきます。

③人権教育に関する基本的な考え
  • 教職員自ら偏見や差別性に気づき、人権に関する諸課題について正しく認識し、人権意識を高め、資質の向上に努め、主体的に研修や人権教育への取り組みを進めていきます。
  • 生徒一人ひとりの課題を的確に把握し、その課題の背景をとらえ、生徒に寄り添い、生徒を中心にすえた学級集団づくりを実践します。また、生徒自らの自尊感情を育み、自己実現につなげていく人権学習を推進します。また、生徒一人ひとりの学力向上を図り、進路指導を充実させます。
  • 家庭・地域・出身小中学校との連携を図り、生徒や地域の実態を的確に把握し、教育実践に生かしていきます。
  • 享栄学園人権教育基本方針、享栄学園人権規定を根底にした鈴鹿中学校高等学校の人権教育推進計画を作成し、それに基づいて、本校の人権教育を3・6年間系統立てて推進していきます。

④現状と課題

◆生徒の現状と課題
〈現状からみて改善すべき点〉
  • 基本的生活習慣が未だに確立されていず、自己管理能力が養われていない生徒が多い。
  • 自尊感情が乏しく、自己実現の意欲が不十分な生徒が多い。さらに、小中学校時代と現実とのギャップや過度の保護者の期待に応えきれず、この傾向が強くみられる。
  • 学級や学校の一員、社会の一員としての自覚にかける生徒がいる。
  • 全般的に、身近ないじめや差別に気づきながら、「みて見ぬふりをする」傾向があること。
  • 全般的に、「考えること」「聞くこと」が苦手でコミュニケーション力、自ら学習に取り組む意欲が弱い生徒がいる。
〈今後も大切にしていきたい生徒の長所〉
  • 人なつっこく、思いやりがあり、面倒見のいい生徒が多いこと。上下の関係もなくアットホームな学校生活を送っている。
  • 文化祭、体育祭、合唱コンクール、各種行事に積極的に取り組む生徒が多くいる。

◆教職員の現状と課題
  • 2年間の文部科学省の人権教育推進事業を受けたことを機に教職員の人権教育への関心・意欲がますます高まりつつあります。
  • 課題のある生徒を中心にすえた人権教育を推進したことで、家庭訪問や個別面談などを通して生徒理解や生徒との関係づくりに意欲的になってきました。
  • 人権教育をはじめとする校外研修などに積極的に参加する機運が高まってきたこと。外部からの指導や助言を有効に活用した人権教育の研究授業の充実が図られてきました。
  • 保護者の部落問題や人権問題に対する考え方や地域社会の状況把握が十分ではありません。地元の地区や教育集会所との連携が不十分です。

◆生徒の自主活動の現状と課題
  • 本校は、人権サークル「くれよん」を中心に人権の大切さを学校全体に訴えてきています。主に、文化祭「くれよん」の活動報告や三重県高校生友の会・中勢地区高校生友の会に参加しています。人権問題を真正面からとらえ、活動を進めています。
  • サークル会員は少なく、いろいろな取り組みを企画しても十分な活動できない状況にあります。6年制での位置づけがまだ不十分なので、今後は6年制にも位置づけていきたい。
  • 生徒会では人権委員会を設置し、全校生徒への人権啓発を担ってきましたが、まだまだ活動としては、不十分であるので、今後も活動を支援していきます。


2 行動計画

① 生徒一人ひとりの自己実現をめざし、学力・進路を保障する取り組みをすすめます

本学園には、被差別部落出身の生徒や在日韓国・朝鮮人生徒や障害のある生徒や受験に失敗した生徒など様々な差別や課題を背負っている生徒が多数在学しています。このような課題のある生徒にしっかり目を向けることからはじめ、この生徒たちへの学力や進路を十分保障する取り組みが、本学園の建学の精神「誠実で信頼される人に」につながると信じています。本学園の生徒一人ひとり(教職員も含め)が自分に自信や誇りを持ち、物事を主体的に考え、前向きに課題に向き合うことが人権意識を育む基盤です。その中で、人権及び人権問題を自らの課題として考えるとともに、将来を展望できる確かな学力を身につけさせることが必要です。そのための学習プランづくりを支援し、個性を尊重し生きる力を育む取り組みを進め、生徒一人ひとりの自己実現をめざす人権教育を推進します。特に、学力保障・進路保障の取り組みは次の点に重点を置いた取り組みをします。

  • 基本的生活習慣の確立を支援し、学習に臨む姿勢の確立を図ります。
  • 授業規律の改善をはかり、生徒一人ひとりの学習権の保障に努めます。
  • 学習が遅れがちな生徒を見逃すことなく、わかる喜びを実感させ、将来に希望を持つことのできるように支援します。
  • 個別面談・家庭訪問等を重ねて生徒一人ひとりの進路適正を的確に把握し、それに応じた学習支援をします。
  • 経済的理由で退学や将来の進学を断念することのないように、奨学金制度等の情報提供や利用を図ります。

②ちがいを認め合い、ともにつながり合える仲間づくり・自主活動をすすめます
  • 様々な個性や生活背景を持つ生徒が出会い交流を重ねて、それぞれの生徒のもっている課題や違いを認め合うことを通して仲間意識が培われていきます。そのために、課題のある生徒に視点を当てた人権教育を推進します。
  • 他の人のいたみや思いに共感し、安心して自分の思いを語ることのできる喜びや「つながりあう喜び」を実感しあう仲間づくりをめざし、あらゆる領域での活動を通して一人ひとりの生徒の思いを大切にした仲間づくりすすめます。
  • 民族、性、障がい等様々な違いや生き方を認め合い、ともに生きていくことの素晴らしさを実感できるように支援します。

③被差別の立場にたった取り組みをすすめます

人権問題が、社会の変化とともに様々な形で新たに発生する可能性のある問題であることをふまえ、一人ひとりがあらゆる人権問題を自分の問題としてとらえ、主体的に学習を深め継続していく態度の育成が重要です。
  • 生徒の悩みや願いから出発する人権学習をすすめます。
  • 同和地区の保護者や教育集会所と密接に連携して、地区の人の思いを生徒に伝える取り組みをすすめます。
  • 人権学習が単発に終わることがないように計画的・系統的に実施します。

④ 教職員研修の充実をすすめます

◆生徒の生活実態の把握に努め、生徒の悩みや願いを大切にします。
  • 家庭訪問や個別面談を重ね生徒の悩みや願い、課題を知り、生徒理解を深めます。
  • 自分自身が被差別の立場に立つことができるように、被差別の当事者から学びます。

◆すぐれた実践に学び、生徒一人ひとりの課題や学級の課題を全教職員が共有します。
  • 先進的な授業づくり、参加型学習などのスキルやすぐれた人権学習の実践に学ぶ研修をすすめます。
  • 人権学習を実施するにあたっては、生徒一人ひとりや学級の課題を明らかにし、それに応じた学習の展開ができるように指導案の検討を進めます。また、その中で自分自身の学習支援者としての力量を高めます。

◆人権教育推進委員会の活性化をはかります
  • 人権教育推進委員会と各学年及び各分掌と連携を密にし、人権教育の推進とより細やかな生徒理解に基づく人権教育の充実をはかります。
  • 各学年・各教科や各分掌がより密接に連携して、学校全体で人権教育をすすめていきます。
⑤ 差別を許さない校区づくり

◆ 通っている生徒の地区や小中学校や各種団体と協働します
  • 各教育集会所と密接に連携して、各地区との取り組みを主体的にすすめます
  • 特に、鈴鹿市人権センター等地元の関係機関との連携を密にし、活動にも積極的に参加します。
  • 鈴鹿市内高校連絡会、中勢地区高校人権教育推進協議会等へ積極的に参加します。
  • 生徒の出身小中学校への聞き取りなど連携を密にして、生徒一人ひとりの現状を的確に把握し、生徒一人ひとりが生き生きと活動できる取り組みをすすめます。